尾別の歴史・文化財 <2. 中世の尾別>

鎌倉幕府滅亡による混乱は、津軽地域にも波及し、豪族たちは朝廷方と幕府方にわかれて争いましたが、建武元年(1334)前者の勝利のうちに終結します。同年冬、朝廷方の国代南部師行は、陸奥国司北畠顕家に降伏した武将の名簿『津軽降人交名注申状』(南部家文書)を提出しますが、同文書に見える「乙邊地小三郎光季」なる武将を尾別館主に比定する説があります。

<現在の尾別館>

尾別周辺では、安藤氏が活躍した室町時代の遺物も多くみられます。尾別館では、珠洲擂鉢(能登産)破片や、直径12㎝ほどの懸仏(弘誓寺懸仏・中泊町指定文化財)が出土しています。また尾別川上流、滝上にあったとされる「解脱庵」関連の資料も知られています。

<胡桃谷遺跡珠洲擂鉢破片>

<弘誓寺懸仏(中泊町指定文化財)>

本来解脱庵本尊であったと伝えられる「弘誓寺如来坐像(中泊町指定文化財)」は室町時代の作と推定されるほか、享保15年(1730)の紀年銘のある「解脱庵双盤」、宝暦4年(1754)の紀年銘のある「解脱庵梵鐘(ただし大正10 年改鋳)」などが残されています。

 

また解脱庵のあったとされる滝付近からは、茶臼が発見されたという伝承も残されており(成田末五郎編/1965)、室町時代に何らかの宗教施設があったことが推定されます。尾別地域には室町時代の城館や、寺院などの宗教施設が存在した可能性があり、安藤氏と関連のある豪族の存在が見え隠れします。

<弘誓寺如来坐像(中泊町指定文化財)>

<解脱庵双盤>

<弘誓寺梵鐘>

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宮越家 離れ/庭園 Miyakoshi House Annex/Garden

青森県中泊町

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